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書いた記事数:75 最後に更新した日:2019/01/04

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フォーラムをめぐる人々―フクシマは終わらない

飯舘村は安全か——村民伊藤延由さんの報告

 


福島県の飯舘村は、原発から30km離れています。事故があった4日後、海に向かって吹いていた風が北西向きに変わりました。そして雪が降り始める。こうして、飯舘村に放射性物質が大量に蓄積され、全村避難ということになったのでした。

 

しかし、5年かけて汚染物質を取り除き、2017年3月には避難指示解除となりました。小中学校一体の立派な校舎も建てられて、着々と復興が進んでいる。原発被災地のなかでも、飯舘村は復興のシンボルであったように思います。私も、村在住の伊藤延由さん(1943年生)の話を聞くまでは、そう思っていました。

 

伊藤さんは、事故後早々、測量器で記録をつけはじめたのです。除染を行った道路や民家付近、畑はもとより、川べりや林や山など、可能な限り満遍なく数値を残しました。そして、飯舘村に避難指示解除を出したのは間違っている、という結論に達したのです。道を歩く子どもたちは、至る所から高濃度の放射性物質に晒されている! 私は仰天しました。

 

事故前の飯舘村は、人口6500人の緑豊かな村でした。それが、2018年12月1日現在、958名だそうです。避難指示が解除されて1年以上経っているにもかかわらず、ほとんどの人は村に戻っていません。村の現状の危険性を肌身に感じているからでしょう。避難指示解除の条件の第1が、年間積算線量20ミリシーベルト以下というとんでもない数字ですから、村民が懐疑的になるのは当然です。一般的には1ミリシーベルト以下でしょう。

 

3100億円もの大金を投じて、全村の約4分の1の面積を除染したにもかかわらず、たとえば伊藤さんの年間被爆量は2.7ミリシーベルトです(2017年)。村内にいた時間は65.1%。そのうち屋外にいた時間はたったの3%です!(村外にいた時間は34.9%)。屋外で1日中活動するとすれば、いったいどれほどの被爆を受けることでしょう。とりわけ子どもは危険です。

 

土壌の汚染は深刻だという印象を受けました。未除染の土壌、たとえば長沼地区の農地は36110ベクレル/kg(0〜5cm、2017年4月1日)。小宮地区の宅地は18187ベクレル/kg(0〜5cm、2017年8月)。事故前は10〜20ベクレル/kgです。飯舘村はいまだに危険な放射性物質に取り囲まれているといっても過言ではありません。

 

伊藤さんは、自らを人体実験としながら、原発の危険性を訴えています。また、損害賠償を4年間で打ち切られたことに対して、東電を相手に訴訟を起こしています。東電は加害者であるにもかかわらず、様々な形で国から救済を受けていますが、このことに対しても、強い憤りを覚えていました。次々に再稼働される原発をいかにして止めることができるのか、私たちの姿勢も問われています。

 

冒頭の写真は伊藤さんのツイッターより。伊藤さんは毎日被爆量を測っています。これは12月22日の被爆量(終日村内、未除染の山林で20分程、除染済み農地、宅地で1時間)。

 

2018年12月15日 風行社セミナー
「原発事故が飯舘村にもたらしたもの——事故から7年半の記録」

 

2018年12月28日 森淳



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